2008年8月9日
964の
オルタネーターのオーバーホール



■kataokaさんから資料提供して頂きました。

オルタネーターのオーバーホールです。
各部品が新品なら結構簡単ですが、古いため、各部品(特に軸受け)が固着しており、本格的な分解装置(油圧プレス)が必要で、誰にでもお勧めできる物ではなかったです。(その証拠に、組立は1/10ぐらいの時間で出来ました)
とは言う物の、リビルド品購入に比べると相当安価に出来ますので、チャレンジする価値はあります。(でも途中で何度もくじけそうになりました:笑)
どうしてもチャレンジするのであれば先にオーバーホール出来る電装屋さん(自分の所でもオーバーホールできるところ)を探しておいて、途中の作業の一部を頼むか、ギブアップした時にお願いできる状態が良いと思います。
でないと不動車になる期間がすごく長くなります。
また、軸受けやスリップリングはスピードジャパンで入手できますが、それ以外の内部部品もボッシュジャパンのホームページから問い合わせるとボッシュ品番を教えてもらえますので、近くのボッシュ代理店で購入出来ます。

オーバーホールは、「赤ガエルのボンヤリ日記」さんのブログにも詳細な様子が書かれていますが、非常に分かり易く素晴らしい内容です。(残念ながら完了してから見つけてしまいました)
http://blog.goo.ne.jp/red-964carrera2/e/f5c1f9cdf2fb4878e149294b8b9733e0

そこには同じ964でもいろんなオルタがあるので、ばらしてから部品発注が望ましいともありました。(貴重な情報でした)


ハウジングからオルタを外す前に、ハウジングとオルタの位置が分かるようにマーキングしておきます。
付けなくても作業は出来ますが、完成後にオルタに線をつなぐ際に線が短く、きまった位置でしか組み立てられないためです。
まず、上写真のレギュレーターの+のビス2本外します。


これにはブラシが2本ついていますが、減っているようならレギュレーターごと交換します。
減り具合による交換目安は、新ピンの半分くらいと911DAYSにありましたが、
@約10万Kmは交換していないと思われ、ここで新品にしておればあと10万Km乗れる。
Aブラシ2本の減り方にも差があり、摩耗も進んでいることから交換しました。(スピードジャパンで@5340円)


こちらが新品のレギュレーターです。
ホームセンターで電動工具のブラシを買ってきて、ブラシだけ交換しようと思いましたが、ちょうど良いサイズもなく断念しました。
新ピンの取り付けはオーバーホール後ですが、ブラシの当たる位置に気をつけながら2本のビスで留めるだけでした。


黄いろの矢印はファンの支持軸受けですが、本来なら外して、オルタの分解にかかるのですが手持ちのベアリングプーラーでは固着の為外すことが出来ず、最終的には油圧プレス(友人宅)を使って外したので、この時点ではくっついたままです。
余談ですが、軸受け交換をしておけば、あと10万Km乗れると思い交換しました。
軸受けだけの入手が出来なかったこと、また軸受けの取り外しが非常に難しい構造でしたので、周りのハウジングごと交換です。(スピードジャパンで@17340円:ため息・・)
ただ、新たに購入したハウジング+軸受けを見ると軸受けだけの交換がし易い構造に変更されていました。
オリジナルは海外メーカー製なので、海外では入手できるのかも知れません。
古い軸受けを分解してみるとグリースの油分が抜けて固まっており、良い時期での交換でした。


いよいよ本体の分解ですが、+のビスが外れないため(黄色矢印)、DAYSに載っていたように、下側の写真のうよゆにシャコ万(@600円)をホームセンターで購入し、ビットをかましてスパナで外しました。
シャコ万は結構使えるように思いましたが、あとあと外す青矢印のビスも固着しており、反対側にシャコ万をひっかけるところが無く使用できなかったため、インパクトドライバーを友人より借りてきて作業しました。
結局インパクトドライバーが有れば、シャコ万は不要かもしれません。

ネジを外すと、下左写真のようにじょうげに分割されますが、なかなか外れません。
ちなみに、下左写真の中央のコイルは下側ハウジングに結線されていますので、下側のハウジングと一緒に引っ張らないと切れるようです。

なかなか外れない原因は軸にくっついているバック側軸受けが右写真に見える白い樹脂ケースから抜けないためです。
DAYSにはプライヤーでレギュレーターのあった穴から軸受けと一緒に抜くとありますがうまくいかず、下側ハウジングとコイルを合わせて根気よく(上側ハウジング押さえながら)コンコンを勢いよく何度もひっぱり外しました。

分解前に組立て時に困らないようにハウジングの上下に合わせマークを入れておきました。(無くても困らないかも・・)


2つに分解されたハウジングは下記のようです。

今後の作業は左の写真だけです。
バック軸受けの外側に右写真の樹脂部品がはまっていました。
左写真の右隅のスリーブと中央のバック側軸受けと左側のスリーズをベアリングプーラーで抜きます。
結局、今回の作業を全てベアリングプーラーで実施したとすると、大きさの違う2種類が必要になりそうです。
たまたま1種類しか手持ちがなかったのと、プーラーでは外れない箇所があり、油圧プレスで作業を進めました。(最終的には油圧プレスでも後述する作業には力不足で、専門店に出しました)


外したバック側の軸受けを分解しましたが、これもグリースが固まっており、寿命までは時間の問題と言った状態でした。
オリジナルは国内メーカーのドイツ製でしたが、軸受け隙間は特殊品です。
DAYS等ではホームセンターで一般の深溝玉軸受け6201を買ってくれば良いとありますが、あまりお勧めできません。
軸受けが樹脂部品にはまるため、断熱効果で軸受け温度が上がり易く広めの隙間設定だと推定できます。(多分グリースも高温用)
ただ、一般品でもトラブルになったとの記述もみませんので、もし一般品を使用するのであれば回転を上げずに慣らし運転のつもりで使用し始めると良いと思います。
今回はボッシュに問い合わせ(オルタ品番を連絡して)、代理店でボッシュ純正品を購入(国産品で@440円でホームセンターより高め)。
ただ、単なるビニール袋に入っており、マジックでボッシュ品名が書いてあったので本当に純正かどうか・・(隙間を図ると確かに広めでした)


スリップリングは2本の線が半田でくっついていますので、まずはとかして線を外します。
手持ちの30Wの半田ゴテでは容量不足で外せませんでしたので、ホームセンターで100Wの半田ゴテを購入し(@2000円弱)、ようやく外れました。
次にこのスリップリングを抜くのですが、その前に必ずスリップリングの軸方向の位置を確認して記録してください。
新品(ッスピードジャパンで@740円)を圧入する時に、ブラシと接触する位置は寸法で決めるしかありませんので。
半田を外すとプーラーで簡単に抜けます。
スリップリング交換は反端側の軸受けを抜いた後でやりますが、説明の都合上、ここに記載しました。


新品を入れる時は、ヒートガンで温めながら入れると良いとDAYSにありましたが、そのような物を持っているわけでもなく、ドライヤーで代用してみましたが軸に真っスク入れることが難しく(傾いてしまって)、結局油圧プレス装置で入れました。
ここで注意!!
スリップリングの外形(ブラシと接触するところ)には、コーティングが施されていますが、ペーパーで落としておくのを忘れていました。
そのまま組み立ててエンジンをかけたところ、充電警告ランプが点き、バッテリーの所で電圧を測定しても発電していませんでした。
また全バラするのかと落胆していましたが、10分ほど走行すると除々に発電してきました。


フロント軸受けの分解です。
写真の青矢印の+ビス4本を外してハウジングを外します。

本体なら軸受け外形はルーズですので簡単に外れますが、プーラーを使って外しました。

次に黄色矢印の軸受けを外そうとしましたが、プーラーでも油圧プレスでも全然外れず、オルタのオーバーホールのできるお店に持ち込んで外してもらいました(@3000円)。
お店でもこれは相当固く大変だったと言っていました(30分ほどでしたが)。
新ピンは軽い圧入で入りましたので、固着だと思います。


DAYSでは写真の状態で、ビスを外さずにハウジングにプーラーをひっかけてハウジングと軸受けを一体のまま抜く説明でしたが(軸受けが固着していなければこの方法でOK)、軸受けがシャフトと固着していると、上の写真の白矢印のプレートが変形し、ネジ穴も破損してしまいます。
実際にそうなってしまい、プレートもボッシュジャパンに問い合わせて代理店で購入しました(@250円位)。
上部下側の写真の軸受けもバラしてみるとそろそろ寿命のようでした。
オリジナルは国内メーカーの海外生産品でした。
この軸受けもインターネットでは一般品が手に入りますが、出来ればボッシュ純正をお勧めします。


組立は油圧プレスが有れば簡単で、組み立てる順番さえ間違えなければ半田付けを含めても1時間もかからないかも知れません。


軸受け組立時の注意点:
深溝玉軸受けは一般に内輪、外輪、ボール、保持器、グリースで形成されています。
外部から中が見えず触った感じでは結構丈夫そうに見えます。
しかし、内輪⇒ボール⇒外輪の順序で力が加わると(逆の場合も)非常に簡単に接触部で変形が発生し、極端に短寿命になったり、回転時に大きな音が出ます。(下図参照)
したがって軸に軸受けを入れる時には内輪だけに力がかかるように、軸箱に軸受けを入れる時には外輪だけに力がかかるように組み立てなければいけません。

オルタを含めて一般的な装置では、分解時にはたいていの場合、内輪⇒ボール⇒外輪(またはその逆)と力がかかってしまう抜き方しか出来ない設計になっています。(特殊な治具を製作すれば可能なこともあり)
基本は分解=軸受けの新品交換になっています。
したがって組立順序を間違えると、必然的に分解することになりますから、軸受けを傷つけてしまう可能性があります。
もちろん組立時も注意しないと外輪⇒ボール⇒内輪でちからを掛けてしまいがちですので十分注意してください。
軸に入れる場合、下図のように外輪を押すとNG。内輪だけを押して入れる。



引用文献@
911DAYS Vol.28 (株式会社デイズ)
本号にかぎらず、いつも大変参考になります。今回これがなければオルタのオーバーホールをする気になりませんでした。ありがとうございました。

引用文献A
「赤ガエルのボンヤリ日記」さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/red-964carrera2/e/f5c1f9cdf2fb4878e149294b8b9733e0
素晴らしく貴重な内容でした。

また今回の作業は素人作業です。思い違いや不理解な点も必ずあると思いますので、実施される場合は自己責任にてお願い致します。




※※※個人的な感想※※※
いやぁ自分がオルタネーターのオーバーホールをしようと思った時はかなり早い段階でダメダ!と判断してリビルド買ってしまいましたが、今回は挫折を繰り返すも作業をやってのけてしまったのがスバラシイです!!
細かなパーツまでボッシュから購入できるとは貴重な情報です。しかも値段付きで・・・
若干見た目が違う物の、930系のオルタも基本構造は同じだと思いますので、バラす際の参考になりそうです。
ベアリングの注意点も細かくして頂きましてありがとうございました。

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